【54】雷沢帰妹(らいたくきまい)
『卦辞』
「歸妹、征凶。无攸利。」
「帰妹は、征けば凶なり。利ろしきところなし。」
「帰妹(きまい)は、征(ゆ)けば凶(きょう)なり。利(よ)ろしきところなし。」
(きまいは、ゆけばきょうなり。よろしきところなし。)
『彖伝』
「彖曰、歸妹、天地之大義也。天地不交而萬物不興。歸妹、人之終始也。説以動。所歸妹也。征凶、位不當也。无攸利、柔乗剛也。」
「彖に曰く、帰妹は、天地の大義なり。天地交わらざれば万物興らず。帰妹は、人の終始なり。説びてもって動く、帰ぐところのものは妹なり。征けば凶なりとは、位当らざればなり。利ろしきところなしとは、柔剛に乗ればなり。」
「彖(たん)に曰(いわ)く、帰妹(きまい)は、天地(てんち)の大義(たいぎ)なり。天地(てんち)交(まじ)わらざれば万物(ばんぶつ)興(おこ)らず。帰妹(きまい)は、人(ひと)の終始(しゅうし)なり。説(よろこ)びてもって動(うご)く、帰(とつ)ぐところのものは妹(まい)なり。征(ゆ)けば凶(きょう)なりとは、位(くらい)当(あた)らざればなり。利(よ)ろしきところなしとは、柔(じゅう)剛(ごう)に乗(の)ればなり。」
(たんにいわく、きまいは、てんちのたいぎなり。てんちまじわらざればばんぶつおこらず。きまいは、ひとのしゅうしなり。よろこびてもってうごく、とつぐところのものはまいなり。ゆけばきょうなりとは、くらいあたらざればなり。よろしきところなしとは、じゅうごうにのればなり。)
『象伝』
「象曰、澤上有雷歸妹。君子以永終知敝。」
「象に曰く、沢上に雷あるは帰妹なり。君子もって終りを永くし敝るるを知る。」
「象(しょう)に曰(いわ)く、沢上(たくじょう)に雷(かみなり)あるは帰妹(きまい)なり。君子(くんし)もって終(おわ)りを永(なが)くし敝(やぶ)るるを知(し)る。」
(しょうにいわく、たくじょうにかみなりあるはきまいなり。くんしもっておわりをながくしやぶるるをしる。)
『爻辞』
上六━ ━
六五━ ━
九四━━━
六三━ ━
九二━━━
初九━━━〇
「初九。歸妹以娣。跛履能。征吉。」
「初九。帰妹に娣をもってす。跛能く履む。征くときは吉なり。」
「初九(しょきゅう)。帰妹(きまい)に娣(てい)をもってす。跛(あしなえ)能(よ)く履(ふ)む。征(ゆ)くときは吉(きち)なり。」
(しょきゅう。きまいにていをもってす。あしなえよくふむ。ゆくときはきちなり。)
「象曰、歸妹以娣、以恆也。跛能履吉、相承也。」
「象に曰く、帰妹に娣をもってすとは、恒をもってするなり。跛能く履むの吉とは、相い承くればなり。」
「象(しょう)に曰(いわ)く、帰妹(きまい)に娣(てい)をもってすとは、恒(つね)をもってするなり。跛(あしなえ)能(よ)く履(ふ)むの吉(きち)とは、相(あ)い承(う)くればなり。」
(しょうにいわく、きまいにていをもってすとは、つねをもってするなり。あしなえよくふむのきちとは、あいうくればなり。)
上六━ ━
六五━ ━
九四━━━
六三━ ━
九二━━━〇
初九━━━
「九二。眇能視。利幽人之貞。」
「九二。眇能く視る。幽人の貞に利ろし。」
「九二(きゅうじ)。眇(すがめ)能(よ)く視(み)る。幽人(ゆうじん)の貞(てい)に利(よ)ろし。」
(きゅうじ。すがめよくみる。ゆうじんのていによろし。)
「象曰、利幽人之貞、未變常也。」
「象に曰く、幽人の貞に利ろしとは、いまだ常を変ぜざるなり。」
「象(しょう)に曰(いわ)く、幽人(ゆうじん)の貞(てい)に利(よ)ろしとは、いまだ常(つね)を変(へん)ぜざるなり。」
(しょうにいわく、ゆうじんのていによろしとは、いまだつねをへんぜざるなり。)
上六━ ━
六五━ ━
九四━━━
六三━ ━〇
九二━━━
初九━━━
「六三。歸妹以須。反歸以娣。」
「六三。帰妹に須をもってす。反り帰ぐに娣をもってすべし。」
「六三(りくさん)。帰妹(きまい)に須(しゅ)をもってす。反(かえ)り帰(とつ)ぐに娣(てい)をもってすべし。」
(りくさん。きまいにしゅをもってす。かえりとつぐにていをもってすべし。)
「象曰、歸妹以須、未當也。」
「象に曰く、帰妹に須をもってすとは、いまだ当らざればなり。」
「象(しょう)に曰(いわ)く、帰妹(きまい)に須(しゅ)をもってすとは、いまだ当(あた)らざればなり。」
(しょうにいわく、きまいにしゅをもってすとは、いまだあたらざればなり。)
上六━ ━
六五━ ━
九四━━━〇
六三━ ━
九二━━━
初九━━━
「九四。歸妹愆期。遲歸有時。」
「九四。帰妹に期を愆る。帰ぐを遲つこと時あり。」
「九四(きゅうし)。帰妹(きま)に期(とき)を愆(あやま)る。帰(とつ)ぐを遲(ま)つこと時(とき)あり。」
(きゅうし。きまいにときをあやまる。とつぐをまつことときあり。)
「象曰、愆期之志、有待而行也。」
「象に曰く、期を愆るの志は、待つことありて行くなり。」
「象(しょう)に曰(いわ)く、期(とき)を愆(あやま)るの志(こころざし)は、待(ま)つことありて行(い)くなり。」
(しょうにいわく、ときをあやまるのこころざしは、まつことありていくなり。)
上六━ ━
六五━ ━〇
九四━━━
六三━ ━
九二━━━
初九━━━
「六五。帝乙歸妹。其君之袂、不如其娣之袂良。月幾望。吉。」
「六五。帝乙妹を帰がしむ。その君の袂は、その娣の袂の良きにしかず。月望に幾し。吉なり。」
「六五(りくご)。帝乙(ていいつ)妹(まい)を帰(とつ)がしむ。その君(くん)の袂(たもと)は、その娣(てい)の袂(たもと)の良(よ)きにしかず。月(つき)望(ぼう)に幾(ちか)し。吉(きち)なり。」
(りくご。ていいつまいをとつがしむ。そのくんのたもとは、そのていのたもとのよきにしかず。つきぼうにちかし。きちなり。)
「象曰、帝乙歸妹、不如其娣之袂良也。其位在中、以貴行也。」
「象に曰く、帝乙妹を帰がしむ。その娣の袂の良きにしかずとは、その位中に在り、貴をもって行けばなり。」
「象(しょう)に曰(いわ)く、帝乙(ていいつ)妹(まい)を帰(とつ)がしむ。その娣(てい)の袂(たもと)の良(よ)きにしかずとは、その位(くらい)中(ちゅう)に在(あ)り、貴(き)をもって行(い)けばなり。」
(しょうにいわく、ていいつまいをとつがしむ。そのていのたもとのよきにしかずとは、そのくらいちゅうにあり、きをもっていけばなり。)
上六━ ━〇
六五━ ━
九四━━━
六三━ ━
九二━━━
初九━━━
「上六。女承筐无實、士刲羊无血。无攸利。」
「上六。女筐を承けて実なく、士羊を刲くに血なし。利ろしきところなし。」
「上六(じょうりく)。女(おんな)筐(かご)を承(う)けて実(み)なく、士(し)羊(ひつじ)を刲(さ)くに血(ち)なし。利(よ)ろしきところなし。」
(じょうりく。おんなかごをうけてみなく、しひつじをさくにちなし。よろしきところなし。)
「象曰、上六无實、承虚筐也。」
「象に曰く、上六の実なきは、虚しき筐を承くるなり。」
「象(しょう)に曰(いわ)く、上六(じょうりく)の実(み)なきは、虚(むな)しき筐(かご)を承(う)くるなり。」
(しょうにいわく、じょうりくのみなきは、むなしきかごをうくるなり。)