【7】地水師(ちすいし)

【7】地水師(ちすいし)

『卦辞』

「師、貞。丈人吉无咎。」
「師は、貞なり。丈人なれば吉にして咎なし。」
「師(し)は、貞(てい)なり。丈人(じょうじん)なれば吉(きち)にして咎(とが)なし。」
(しは、ていなり。じょうじんなればきちにしてとがなし。)

『彖伝』

「彖曰、師衆也。貞正也。能以衆正、可以王矣。剛中而應、行險而順。以此毒天下、而民從之。吉又何咎矣。」
「彖に曰く、師は衆なり。貞は正なり。能く衆を以いて正しければ、もって王たるべし。剛中にして応じ、険を行ないて順なり。ここをもって天下を毒しめて、しかも民これに従う。吉にしてまた何の咎かあらん。」
「彖(たん)に曰(いわ)く、師(し)は衆(しゅう)なり。貞(てい)は正(せい)なり。能(よ)く衆(しゅう)を以(ひき)いて正(ただ)しければ、もって王(おう)たるべし。剛(ごう)中(ちゅう)にして応(おう)じ、険(けん)を行(おこ)ないて順(じゅん)なり。ここをもって天下(てんか)を毒(くる)しめて、しかも民(たみ)これに従(したが)う。吉(きち)にしてまた何(なに)の咎(とが)かあらん。」
(たんにいわく、しはしゅうなり。ていはせいなり。よくしゅうをひきいてただしければ、もっておうたるべし。ごうちゅうにしておうじ、けんをおこないてじゅんなり。ここをもっててんかをくるしめて、しかもたみこれにしたがう。きちにしてまたなにのとがかあらん。)

『象伝』

「象曰、地中有水師。君子以容民畜衆。」
「象に曰く、地中に水あるは師なり。君子もって民を容れ衆を畜う。」
「象(しょう)に曰(いわ)く、地中(ちちゅう)に水(みず)あるは師(し)なり。君子(くんし)もって民(たみ)を容(い)れ衆(しゅう)を畜(やしな)う。」
(しょうにいわく、ちちゅうにみずあるはしなり。くんしもってたみをいれしゅうをやしなう。)

『爻辞』

上六━ ━
六五━ ━
六四━ ━
六三━ ━
九二━━━
初六━ ━〇

「初六。師出以律。否臧凶。」
「初六。師は出づるに律をもってす。否らざれば臧きも凶なり。」
「初六(しょりく)。師(し)は出(い)づるに律(りつ)をもってす。否(しか)らざれば臧(よ)きも凶(きょう)なり。」
(しょりく。しはいづるにりつをもってす。しからざればよきもきょうなり。)
「象曰、師出以律、失律凶也。」
「象に曰く、師は出づるに律をもってすとは、律を失えば凶なるなり。」
「象(しょう)に曰(いわ)く、師(し)は出(い)づるに律(りつ)をもってすとは、律(りつ)を失(うしな)えば凶(きょう)なるなり。」
(しょうにいわく、しはいづるにりつをもってすとは、りつをうしなえばきょうなるなり。)

上六━ ━
六五━ ━
六四━ ━
六三━ ━
九二━━━〇
初六━ ━

「九二。師在中。吉无咎。王三錫命。」
「九二。師に在りて中す。吉にして咎なし。王三たび命を錫う。」
「九二(きゅうじ)。師(し)に在(あ)りて中(ちゅう)す。吉(きち)にして咎(とが)なし。王(おう)三(み)たび命(めい)を錫(たま)う。」
(きゅうじ。しにありてちゅうす。きちにしてとがなし。おうみたびめいをたまう。)
「象曰、師在中、吉、承天寵也。王三錫命、懐萬邦也。」
「象に曰く、師に在りて中す、吉なりとは、天寵を承くるなり。王三たび命を錫うとは、万邦を懐くるなり。」
「象(しょう)に曰(いわ)く、師(し)に在(あ)りて中(ちゅう)す、吉(きち)なりとは、天寵(てんちょう)を承(う)くるなり。王(おう)三(み)たび命(めい)を錫(たま)うとは、万邦(ばんぽう)を懐(なつ)くるなり。」
(しょうにいわく、しにありてちゅうす、きちなりとは、てんちょうをうくるなり。おうみたびめいをたまうとは、ばんぽうをなつくるなり。)

上六━ ━
六五━ ━
六四━ ━
六三━ ━〇
九二━━━
初六━ ━

「六三。師或輿尸。凶。」
「六三。師あるいは尸を輿す。凶なり。」
「六三(りくさん)。師(し)あるいは尸(かばね)を輿(の)す。凶(きょう)なり。」
(りくさん。しあるいはかばねをの。きょうなり。)
「象曰、師或輿尸、大无功也。」
「象に曰く、師あるいは尸を輿すとは、大いに功なきなり。」
「象(しょう)に曰(いわ)く、師(し)あるいは尸(かばね)を輿(の)すとは、大(おお)いに功(こう)なきなり。」
(しょうにいわく、しあるいはかばねをのすとは、おおいにこうなきなり。)

上六━ ━
六五━ ━
六四━ ━〇
六三━ ━
九二━━━
初六━ ━

「六四。師左次。无咎。」
「六四。師左き次る。咎なし。」
「六四(りくし)。師(し)左(しりぞ)き次(やど)る。咎(とが)なし。」
(りくし。ししりぞきやどる。とがなし。)
「象曰、左次、无咎、未失常也。」
「象に曰く、左き次る、咎なしとは、いまだ常を失わざればなり。」
「象(しょう)に曰(いわ)く、左(しりぞ)き次(やど)る、咎(とが)なしとは、いまだ常(つね)を失(うしな)わざればなり。」
(しょうにいわく、しりぞきやどる、とがなしとは、いまだつねをうしなわざればなり。)

上六━ ━
六五━ ━〇
六四━ ━
六三━ ━
九二━━━
初六━ ━

「六五。田有禽、利執言。无咎。長子師帥。弟子輿尸。貞凶。」
「六五。田して禽あり、言を執るに利ろし。咎なし。長子師を帥ゆべし。弟子なれば尸を輿す。貞なるとも凶なり。」
「六五(りくご)。田(かり)して禽(えもの)あり、言(これ)を執(と)るに利(よ)ろし。咎(とが)なし。長子(ちょうし)師(し)を帥(ひき)ゆべし。弟子(ていし)なれば尸(かばね)を輿(の)す。貞(てい)なるとも凶(きょう)なり。」
(りくご。かりしてえものあり、これをとるによろし。とがなし。ちょうししをひきゆべし。ていしなればかばねをのす。ていなるともきょうなり。)
「象曰、長子師帥、以中行也。弟子輿尸、使不當也。」
「象に曰く、長子師を帥ゆべしとは、中行なるをもってなり。弟子なれば尸を輿すとは、使うこと当らざればなり。」
「象(しょう)に曰(いわ)く、長子(ちょうし)師(し)を帥(ひき)ゆべしとは、中行(ちゅうこう)なるをもってなり。弟子(ていし)なれば尸(かばね)を輿(の)すとは、使(つか)うこと当(あた)らざればなり。」
(しょうにいわく、ちょうししをひきゆべしとは、ちゅうこうなるをもってなり。ていしなればかばねをのすとは、つかうことあたらざればなり。)

上六━ ━〇
六五━ ━
六四━ ━
六三━ ━
九二━━━
初六━ ━

「上六。大君有命。開國承家。小人勿用。」
「上六。大君命あり。國を開き家を承けしむ。小人は用うるなかれ。」
「上六(じょうりく)。大君(だいくん)命(めい)あり。國(くに)を開(ひら)き家(いえ)を承(う)けしむ。小人(しょうじん)は用(もち)うるなかれ。」
(じょうりく。だいくんめいあり。くにをひらきいえをうけしむ。しょうじんはもちうるなかれ。)
「象曰、大君有命、以正功也。小人勿用、必亂邦也。」
「象に曰く、大君命ありとは、もって功を正すなり。小人は用うるなかれとは、必ず邦を乱ればなり。」
「象(しょう)に曰(いわ)く、大君(だいくん)命(めい)ありとは、もって功(こう)を正(ただ)すなり。小人(しょうじん)は用(もち)うるなかれとは、必(かなら)ず邦(くに)を乱(みだ)ればなり。」
(しょうにいわく、だいくんめいありとは、もってこうをただすなり。しょうじんはもちうるなかれとは、かならずくにをみだればなり。)

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